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    夫がモラハラ? 「私のせいで」と思ったら確かめたい3つのこと

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    「私の夫はモラハラ?」「モラハラの見極め方が知りたい」。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には「モラハラ」の基準を問いかける投稿が目立ちます。「モラハラ」とは「モラル・ハラスメント」の略。倫理や道徳に反した嫌がらせや、精神的暴力などの意味がありますが、人にとって受け取り方は様々。家族や恋人など親しい人との間で「これって、モラハラ?」と思ったとき、私たちには何ができるのでしょうか。コミック「モラニゲ~モラハラ夫から逃げた妻たち~」(飛鳥新社)の著者と、監修した臨床心理士に対処法を聞きました。

    怒鳴り声・罵倒・毎日の無視…豹変した夫

    画像はイメージです
    「モラハラ夫との生活が限界です」と投稿したのは、結婚十年余り、3人の子どもがいる40歳代の「ブルー」さん。夫は「ブルー」さんの父親の家業を手伝うようになったのですが、そのストレスからか、家族をささいなことでどなったり、夜中にたたき起こしたりするそう。たまに優しい言葉をかけることもあり「嫌いにもなりきれない。でも、もう苦しいのです」とつづります。

    夫の言動におびえながら暮らす妻は、ほかにもいます。「モラハラ夫なのか否か。」のタイトルで投稿した「KOKO23」さんは、20歳代。結婚2年目の夫は「俺はこういう人間だから、嫌なやつは離れればいい」「俺がいないと生きていけないんだよ」などのキツい言葉が目立つようになったと言います。

    「夫から無視をされています。あいさつの言葉も言ってもらえません」とつづったのは、3人の子どもがいる40代の「サファイア」さん。子どもの学費や住宅ローンを支払うために、夫からダブルワークを求められていますが、家計について尋ねると、「『金の話しかしねぇなぁ!』とののしられます」。夫は気分によって態度が豹変すると言います。

    「モラニゲ」 とにかく逃げることの大切さ

    「モラニゲ~モラハラ夫から逃げた妻たち~」(飛鳥新社)より
    今年3月に出版されたコミック「モラニゲ~モラハラ夫から逃げた妻たち~」(飛鳥新社)は、モラハラ夫から逃げた妻たち9人と専門家が登場します。

    9人の女性を取材した著者の榎本まみさんは、「これってモラハラでは?と思っても『私が悪いのかも……』と思ってしまう女性が多いことが印象的でした。専門家にも取材したところ、モラハラ夫には、機嫌の良いときには優しくなるという二面性があるそうです。深刻な状況になる前に、時には逃げることも必要だと伝えたくて、『モラニゲ』というタイトルを考えつきました」と振り返ります。

    本質は「恐怖による支配」…チェックリスト

    モラハラとはどういった行為を指すのでしょうか。「モラハラの本質は、恐怖による支配。言葉や態度による精神的な暴力で相手をいしゅくさせ、従わせます」。そう話すのは、武蔵野大非常勤講師で、臨床心理士の本田りえさんです。

    本田さんは、モラハラの加害行為と被害者の反応は合わせ鏡のようなものと説明。モラハラにありがちな行為の例と被害者の反応をそれぞれ挙げ、「該当項目が多ければ、モラハラ被害に遭っている可能性が高くなります。ダブルチェックしてみてほしい」といいます。

    〈加害者が夫の場合〉
     □自分は特別扱いで、他者に厳しい
     □自分の利益のために平気でうそをつく
     □弁は立つが、話し合いはできない
     □妻が病気になると不機嫌になる
     □妻の向上心や楽しみを否定し、成功に嫉妬する
     □何時間も説教したり、問い詰めて謝罪を強要したりする

    〈被害者が妻の場合〉
     □夫と2人でいる時に苦しい
     □夫の帰宅時間が近づくとどうきがしたり、体がこわばったりする
     □夫の機嫌を損ねないよう、夫の表情を読み取るくせがついた
     □失敗した時、夫が激怒し、罵倒する姿が思い浮かぶ
     □夫が間違っていても、言い返さず流す

    ★妻が加害者、夫が被害者になる場合もある。恋人や家族間でのモラハラも同じ。

    モラハラ男性の特徴は

    本田さんによると「相手を従わせるためにはかなりの時間経過を要するもの」。例えば、キレイな人には「お前はブスだ」、料理が上手な人には「こんなものが食えるか」……など、日常的に相手の得意なことにダメ出しするなどして、じわじわと自信を失わせていきます。

    弁が立つことも、モラハラ夫の特徴の一つです。妻に土下座や正座をさせ、論点をずらしながら明け方近くまで説教を続けるケースも目立ち、最初は反論していた妻も、「黙って聞いた方がマシ」と次第に諦めるように。中には、実家や友人から引き離し、金銭的な自由を奪うことで、コントロールを強める人もいます。怒りのスイッチも毎日変わるため、夫の機嫌を損ねないよう、神経をすり減らしながら暮らし続けた結果、長期的なストレスで身体症状が出ることも多いといいます。

    モラハラ男性を見抜く方法はないのでしょうか。「残念ながら、前もって見抜くのは非常に難しい」と本田さん。手口は巧妙で、出会いの時には魅力的に接し、結婚・出産など、関係が深くなって初めてコントロールを始めるからだといいます。

    「私のせい?」と思ったら…確かめてほしい3つのこと

    「モラハラ」を疑いながらも「私のせいかもしれない」と思ったら、本田さんは次の3つを確かめてほしいと話します。

    1〉大切な人が、自分と同じ状況にいると想像してみる
    「あなたの大切な人が今のあなたの立場だったら、『我慢できるでしょう』『頑張って』と言えますか?」と自分に聞いてみてください。「友達には『離れなさい』と言うと思う」「娘には絶対、私のような経験はさせたくない」と思うケースもあるでしょう。他の人を自分の状況に置き換えることで、客観視できます。

    〈2〉親しい旧友に会ってみる
    被害が長期化した人の多くは、自分らしさを失っています。下の名前で呼び合うくらい仲の良い友人に会ってみると、昔の感覚を思い出し、「私ってこんな性格だったんだ」と今との違いに気づくことがあります。

    〈3〉「つらい」という感情に蓋をしていないか、振り返ってみる
    つらい時に「自分のせい」「努力が足りないから」と感情に蓋をしていないか、振り返ってみます。まず、つらいという気持ちを認めること。自分の違和感を大切にして、仲の良い友人や家族などに相談してみましょう。

    本には、弁護士や女性センターの元相談員などによるモラニゲするためのアドバイスも盛り込まれています。榎本さんは、「『耐えることが美徳』という風潮もありますが、逃げることは悪いことではありません。本当につらかったら、深刻な状況に陥る前に、逃げることも選択肢の一つに加えてほしいです」と呼びかけています。

    モラハラかどうかを見極めようとすると、基準をどこに置いていいのか迷いますが、問題を長期化させないためにも多くの人の体験談は知っておきたいものですね。(読売新聞メディア局 森野光里)

    「モラニゲ~モラハラ夫から逃げた妻たち~」(飛鳥新社)より

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