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    夕方に流れてくるチャイムは何? 誰が選んでいるの?

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    子どもの頃、夢中で遊んでいると、どこからともなく聞こえてくる「夕焼け小焼け」や「七つの子」のメロディー。「もう、そんな時間?」と、慌てて家路についた思い出はありませんか? 大人になってからも、この曲を聞くと家に帰りたくなる人が多いのでは。正午や夕方、決まった時間に流れてくるミュージックチャイムは、自治体が管理する「防災行政無線」から放送されています。

    読売新聞の掲示板サイト「発言小町」に「夕焼け小焼け」のタイトルで投稿がありました。トピ主の「はなみ」さんの家は市町村の境界にあるため、「夕焼け小焼け」のほかに、隣接した自治体独自のメロディーも聞こえるそうです。季節によって、流れる時間も違うようです。トピ主さんは、「皆様の自治体でどのような曲が流れていますか?」と問いかけました。

    チャイムを鳴らすのは機器の点検と防犯のため


    写真はイメージです
    「防災行政無線」は災害が発生した場合、いち早く正確な災害情報を地域住民に伝達するための設備。総務省によると、全国の自治体の78.5%(1366市町村/2021年3月末)で整備されています。屋外に設置したスピーカーや受信機で放送しますが、いざというときに故障していたら大変なので、正常に機能しているかどうかを点検するためにミュージックチャイムを流しています。

    また、防犯を兼ねて、日没前に子どもたちの帰宅を促す役割もあります。季節によって流す時間を変えているのは、日の長さが違うため。選曲は自治体に任されていて、日本の童謡「夕焼け小焼け」や「ふるさと」「赤とんぼ」「七つの子」などが多く使われています。

    発言小町でも、「夕焼け小焼け」が多数でした。「しあわせ老人」さんは、この曲を聞くと、外で思い切り遊んだあと、お家うちが恋しくなった思い出がよみがえり、何だか幸せな気持ちになるそうです。「ポチ子」さんの地域では、「夕焼け小焼け」とともに、「もうすぐ5時になります。子どもたちはお家に帰りましょう……」というアナウンスが流れます。これは、「子どもの見守り放送」と呼ばれ、チャイムの代わりに単独で放送する自治体もあります。ポチ子さんの愛犬はアナウンスに反応して、「ぁおぉ~~ん……うぅぉぉ~~~ん…」と遠ぼえするのだとか。防犯に一役買っているのでしょうか。

    ほかに、ドボルザーク作曲「新世界より」第2楽章の「家路」(「ゆこゆこ」さん)、ベートーベン作曲「第九」(「シャケ」さん)など、クラシック音楽が流れる地域も多いようです。リズミカルな「家路」のメロディー、しっとりとチャイムで奏でる第九の「歓喜の歌」。どちらも夕暮れの哀愁を思い出しますね。

    オリジナル市民歌や地域ゆかりのミュージシャンの楽曲も


    オリジナルの市町村歌がミュージックチャイムに使われることもあります。「自宅で聞いたり、職場で聞いたり、ああ日が暮れてきたなと感じます」という「ぎんねこ」さん。聞こえてくるのは、埼玉県春日部市の市歌で、シンガー・ソングライターのあえかさん作詞・作曲「心の空」です。2015年、新・春日部市施行10周年を記念して「春日部市の歌」として作られ、17年から防災行政無線で放送されています。

    シンガー・ソングライターのあえかさん
    あえかさんは春日部市出身。現在も市内に在住し、「かすかべ親善大使」を務めています。「歌によって、春日部への愛着をより高めたい」という強い思いが、「心の空」に込められているそうです。

    「弥生」さんの出身地にも「愛唱歌」があり、ミュージックチャイムになっていたそうです。「還暦間近になっても、歌えます」と言います。「愛唱歌」は地域によっても違うのでしょうが、千葉県茂原市は毎朝8時に市の愛唱歌「いつも憧憬(あこがれ)」、夕方5時は定番の「夕焼け小焼け」を放送しています。和歌山県岩出市では市民歌を採用、「子どもの見守り放送」を一緒に放送しています。

    このほか、地域にゆかりの有名人にちなんだ曲や、ミュージシャンの作品を使っている市町村も多くあります。有名なのは、宮城県本吉郡南三陸町の「残酷な天使のテーゼ」。人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニング曲です。作曲家の佐藤英敏さんの出身地ということで、採用されたそうです。円谷プロダクションを設立した円谷英二さんの出身地、福島県須賀川市では朝は「ウルトラセブンの歌」が、夕方は「帰ってきたウルトラマン」が流れます。「セブン、セブン、セブン」と一緒に口ずさみたくなる曲調は、朝にぴったりなんでしょうね。

    千葉県館山市は、ロックバンド「X JAPAN」のリーダーYOSHIKIさんの出身地ということで、夕方5時に「Forever Love」が流れます。ちなみに、館山駅の発着メロディーも同じです。福岡県田川郡糸田町は、井上陽水さんの出身地。もちろん、夕方5時になると陽水さんの楽曲が流れてきます。しかも、3か月ごとに曲を変えるというこだわりぶりです。

    きょうも「防災行政無線」は音楽を奏でます。有事に備えるという本来の役割もさることながら、私たちの生活にいろどりを添えていることは間違いありません。みなさんの地元ではどんな曲が流れていますか? (読売新聞メディア局 後藤裕子)

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