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    気になる物件は、墓が見える部屋…でも借りる? プロの意見は

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    住まいを選ぶとき、部屋から墓地が見えたらどう思いますか? なんとなく悪い印象を持ちますか? 読売新聞の掲示板サイト「発言小町」では、墓が見える物件について、さまざまな意見が寄せられています。嫌がる人がいる一方で、静かで地盤がしっかりしているなど、メリットを訴える人も。どう考えたらいいのでしょうか。専門家に聞いてみました。

    一番気に入っている部屋は、墓地の隣

    画像はイメージです
    トピ主「はなこ」さんは、一人暮らし用の賃貸マンションを探していて、今一番気に入っているのが「お墓が見える物件」。ベランダに出ると、視界の半分に墓地が広がっているのが見えるといいます。(トピ「お墓が見えるマンション」)

    桜の名所でもある整備された広大な霊園。内覧したときは、「そこまで嫌な感じはなく、明るい印象を持ちました」と言いますが、「やはり墓地が見える物件はどうなのだろうかと思うし、賃料がさほど安くないことなどもあって、決めかねています。ご経験や世間一般のお声を聞かせてください」と、アドバイスを求めました。

    この投稿には、60件近い反響(レス)がありました。実際、墓の近くの物件に住んだことがあるという経験談が目立ちます。

    「ソラミミ」さんは、若いころ、台所の小窓から墓が見える物件に住んでいたそうです。寝室の向かいに納骨堂も建ちましたが、とても静かだったと振り返ります。

    三方に墓地が見える物件に住んでいる「009」さんは、「生活を始めてから墓地が気になったことが皆無ですし、墓地があるということで逆に人が集まりにくいとか、他のビルやマンションが建つという環境変化も起こりにくいです」とコメント。

    「くま」さんは、南側に墓地が隣接している自宅について、「日当たりは良好。隣接している部分の大半は、民家ではないので静かです」。意外とメリットを感じているケースが多いようです。

    誰もいないのに、玄関の人感センサーが反応…

    一方で、デメリットを指摘する声もあがりました。「線香のニオイはどうでしょうね? 風向き次第でニオイが漂ってくるなら、わたしは絶対に嫌です」(「白くま」さん)という書き込みも。

    大学進学時に下調べが不十分なまま、墓の見える部屋を契約したという「まお」さんからは、「最初は気になりませんでしたが、ある日、月の光に照らされた墓石が目に入ってきて、その独特の雰囲気が気になって眠れなくなり、結局、半年で引っ越すことになりました」という経験談もありました。

    近所に墓地があるマンションの1階に住む「春日」さんからは、「怖がらせるつもりはないですが、玄関の人感センサーが誰もいないのに頻繁に点灯します。うちの玄関を通って、誰かがお墓に出入りしているのかなと思ってしまいます」というコメントもありました。

    墓が見える物件の3つのメリットとは

    不動産コンサルティング会社「さくら事務所」(東京)会長の長嶋修さんに聞いてみました。長嶋さんによると、不動産業者は、契約前に、権利関係やインフラの整備状況、周囲の人から嫌われる施設(嫌悪施設)が近くにないかなどの重要事項を客に説明することが法律で決められています。一般的に、墓はその「嫌悪施設」にあたると考えられています。

    でも、デメリットばかりとも限らないそうです。

    「20~30年前に比べ、墓が見えるかどうかを気にする人は減ってきたように感じます。だいたい気にされるお客様は全体の1、2割ほどでしょうか」と、長嶋さん。墓が見える物件には、次の三つのメリットがあるのだそうです。

    〈1〉災害に強い土地であることが多い
    古くからある寺社仏閣は、自然災害を避けるため、地盤がしっかりした土地や高台に建設されたケースが多いといいます。ただし、そうでない寺院もあります。各自治体のハザードマップ(災害予測地図)や国土地理院の地図などで、確認が必要です。

    〈2〉日当たりや眺望が、あまり変わらない
    墓地は、移動させること自体が大変です。開発して、高層ビルやマンションなどが建つ可能性は低いため、ベランダや窓側に墓地がある場合、住んでいる部屋の日当たりや眺望、風通しが変わることがほとんどありません。

    〈3〉賃料や敷金・礼金が相場より安いことも
    エリアによっては、賃料・敷金・礼金が相場よりも安いケースもあります。ただし、需要と供給の関係で、都市部などの人気が高いエリアでは、あまり金額に差が出ません。

    夜道の一人歩きや線香のニオイに注意

    このほか、近くにお墓があることで、静かに過ごせるというメリットもあるそうです。「ただ、裏返せば、街灯や夜の人通りの状態によっては、女性が仕事帰りに一人歩きするのは、不安なケースもあるでしょう。風向きによっては、部屋に線香のニオイが付くこともあるので、気になったら、契約前に業者の担当者に確認しましょう。事前にしっかり確認しておくことで、トラブルは避けられます」と長嶋さん。

    墓が気になるかどうかについては個人差があると思いますが、メリット・デメリットを知れば、候補の一つとして部屋選びの幅が広がるかもしれません。

    (読売新聞メディア局 森野光里)

    【紹介したトピ】
    お墓が見えるマンション

    長嶋 修(ながしま・おさむ)
    不動産コンサルタント。1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。「中立な不動産コンサルタント」としてマイホーム購入・不動産投資など不動産購入ノウハウや、業界・政策への提言を行う。新著に『災害に強い住宅選び』(日本経済新聞社出版)ほか、著書・メディア出演多数。