ペットロスという言葉がありますが、ペットを亡くした時ってそんな簡単な響きの感情では済まないですよね。最初は実感がわかなくて、ふとした時に猛烈に悲しくて途方に暮れて、受け止められなくて、写真を見るとかわいくてかわいくて抱きしめたくなって、でもそれはできなくて。
猫を亡くされた方のトピがあり、愛猫への愛情がつづられていました。最後に「私の手の中で逝ってくれてありがとう。どんな時もずっと一緒にいてくれてどうもありがとう。本当に本当に本当にありがとう」と感謝の言葉が連ねられており、コメント欄も同じ思いをした方の感謝の言葉であふれていました。
私はこのトピを見て少し泣いて、癒やされていることに気がついたのです。1年半前に大切でいとおしい宝物だった柴犬のコロッケがガンの手術中に亡くなったのですが、今なお気持ちの整理はついていませんでした。まだ心が「現実を受け入れたらとてつもなく傷つくからフワフワしておこう」と判断している感じなのです。娘も生まれ実家に新しい犬がやってきましたが、コロッケの穴はコロッケでしか埋められないのだなと痛感させられました。
でもこのトピを見て、コロッケへの感謝の気持ちを唱えることが自分にとっての癒やしなんだなと気がついたのです。感謝ってポジティブに自分の気持ちを整理できる方法なんですね。
コロッケ13年間ありがとう。コロッケがいなかったら乗り越えられなかったことたくさんあるよ。コロッケを抱っこしたらあったかくてたまらない匂いがして、最高に私は幸せでした。
大切な者の死、それをたくさんの人が乗り越えられるのは感謝があるからなのかな、と思わされたのでした。
犬山紙子(いぬやま・かみこ)
エッセイスト、タレント。1981年、大阪府生まれ。2011年、ブログをまとめた著書「負け美女」でデビュー。雑誌やテレビなどで活躍中。17年1月に長女を出産した。