現在、ロンドンに留学しています。ちょうど先週は、エリザベス女王在位70年を記念した「プラチナ・ジュビリー」と呼ばれる期間でした。国をあげての4連休、祝賀パレードは、日本のニュースでも話題になっていたようですね。
70年ってすごいなあ……と感慨にふけるなか、私のメールボックスに舞い込んだのは「あなたのアカウントを開設してから10年が 経 ちました」という、Twitterからのお知らせ。女王が人生を捧げて君臨している間に私が唯一続けられていたことがTwitterだったのか!と衝撃を受けました。いや、やめられなかったとも言うのですが……。
怒られ続けた新人時代の心の支え
写真はイメージです同時に思い出しました、今のアカウントを開設したのが、新卒で入社した会社から要請されてのことだったのを。つまりTwitter10周年というのは、私の社会人10周年を意味しているのでした。ぶじ就職先は見つかったものの「仕事ができない!」と怒られ続け、「新卒6か月 仕事できない」「新卒1年 まだ怒られる」などで検索し、発言小町やYahoo!知恵袋などで似たようなトピを見つけて、「他にも怒られてる人いるから、私もまだ大丈夫だ……」と安心していたときのことを思い出しました。ちょっぴりセンチメンタルな気持ちになっている中、目にとまったのが、今回のトピ「上司に婚活とメイクを勧められショック」でした。あー、身に覚えがありすぎる!
相談者さんは新卒入社したての22歳。かなり 歳 上、30歳前後の娘さんもいる女性上司から、雑談の流れで彼氏の有無を聞かれ、いないと答えたその流れで「婚活したらどう?」「もっとメイクもするべきよ!」と畳み掛けられて、ショックを受けてしまったとのこと。まさに同じ22歳のとき、男性上司命令で「もっと 垢 抜けるように」と言われて、メイクレッスンや、オフィスカジュアルにふさわしい服装、はてはダイエットまで指導されたことがある身としては大変シンパシーを感じてしまうトピです。
女性→女性でハラスメントになるケースも
私の場合は編集者という業務上必要なことという先方の建前があり、そして社会に出たばかりで「そういうものなのかな?」と感じて受け入れてしまったのですが、相談者さんは流されずに違和感をきちんと言語化できていてえらい。時代の変化もあるかもしれません。周囲を見ても、職場で相手の容姿やプライベートに口を出すのがマナー違反であり、ハラスメントにもなることは、相当認知されてきているなと思います。
ただ、男性→女性のハラスメントには敏感な世の中でも、女性→女性は見落とされがちですよね。いくつかのレスも指摘しているし、自分も10年 歳 をとって「歳上」サイドにまわりつつあるので実感しているのですが、社会での経験や傷が蓄積されていくと、それを下の世代に経験してほしくない気持ちが強くなってしまうんです。
「良かれと思って」の一言でも価値観のズレ
しかし、気がおけない友達どうしならともかく、歳の差がある関係性は、思った以上のプレッシャーや気遣いを歳下の方にかけるもの。「良かれと思って」言ったことが、相手にとっては今回のような「おせっかい」「余計なお世話」にしかならないことがめちゃくちゃあるなあ、と私も最近反省していました。
さらに、歳上から歳下へのアドバイスにはどうしても「世代のズレによる価値観のズレ」が含まれてしまいます。歳をとるとパートナー探しに苦労するという話をしたり、まだ新卒でそこまで手取りもないだろう相手に「つけまつ毛」の施術をすすめたり……。そこに社会の現状がいくばくか含まれているとしても、同じくらい、この上司ご本人が持つエイジズムやルッキズムがにじみでている。それもトピ主にとっては居心地が悪いものだったのではと思います。
「聞き流しましょうよ」というレスも複数ありましたが、受け流したり聞き流したりするのも負担だし。その負担を言われた側が受け持たなければならない、ということを、我々歳上サイドは終始、心にとめておかなければならない……。ただ「飲もうよ!」って誘うだけでも、歳上からいくのは気を使わないといけないよね、と周りの女友達とも話し合っています。あー、本来はトピ主ではなく、歳上サイドの我々がこの女上司に何か言いにいかねばならない!という責任すら感じます。30歳以上は歳の差がある関係だとお見受けするので、直接いなすのは本当に大変でしょう。トピ主さんが、間にいる女性の先輩などにアドバイスを仰げるといいのですが。
救いだなと思ったのは、トピ主さんが「自分の時間が大事」としっかり軸を持てていること。その軸を大切にされていれば、きっと、職場でもプライベートでも、生き生きとした20代を過ごせるのではないかと思います。トピ主さんの10年後を想像しつつ、より「歳上」になっていく自分の身の振り方を考えさせられたトピでした。これを読んだ同世代以上のみなさん、一緒に気を引き締めていきましょう。
【紹介したトピ】
ひらりさ ライター、編集者
1989年東京都生まれ。オタク文化、女性の生き方、お金、消費などに詳しく、エッジがありかつ共感度の高い発信を続けている。著書に『沼で溺れてみたけれど』、女性4人によるユニット「劇団雌猫」名義での共同編著に、『浪費図鑑ーー悪友たちのないしょ話』『だから私はメイクする』など。現在はイギリスの大学院に1年間の留学中。