10年ほど前に好きだったひとが、死んでしまったと知りました。
私の片思いでした。彼は知ってくれていましたが、私に対して恋愛感情はなく、歳も離れていたので、兄妹のように接してくれていました。
彼と出会う前にも後にも、つきあった人はいましたが、結局私はいまだにひとりでいます。それは特になんとも思っていません。
彼とは暫く後に疎遠になり、思い出すこともない存在になっていました。
そのはずだったのですが。
人づてに、彼が死んでしまったこと、独身だったため、喪主は弟さんだったこと、葬儀ももう済んでしまったことを知りました。
それを聞いたとたん、胸の中に悲しみが、まるで湖の波紋のように拡がり、満ちていくのがわかりました。
もう会えないんだ・・・と思うと、日に日に切なさが増して、悲しみが深くなって、どうしようもないくらいです。
彼の恋人でも親族でも、友人ですらない今、お別れに行くこともできません。
もう一度彼に会いたかった、でも、もう二度と会えない、顔も見られない、声も聴くこともできないんだ・・・
早朝出勤をして、ひとりで机に向かっている時、涙があふれて止まらなくなります。
「しっかりしろ、ミチコ、仕事中じゃないか、情けない」
そう思います。
それでも、もう会えない、いないんだ、と思うと、10年も前に好きだったひとのことなのに辛くて切なくてたまりません。
不惑にもなってなんて子供じみた、とか、今まで思い出さなかったくせに、と思います。
でも、もう一度会いたい。顔を見たい。声を聴きたい。
片思いのまま終わったからこそ、いいイメージのままなんだと思います。
解ってはいるのですが、悲しくて涙が止まりません。
素敵な、優しい、紳士的なひとでした。妹でも良かったのに。本当に好きでした。
こんな独り言を読んで下さって、ありがとうございました。
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