今年初めて、ピーマンを育ててみました。
ホームセンターで58円で買った苗木を1本、ベランダのプランターに植えました。
少し大きくなった頃、飼い猫が葉っぱを食べだしました。
始めは止めていましたが、病気が進んでほとんど食欲の無くなっていた猫が、
ベランダに出ると真っ直ぐに苗に向かい、ブチッと勢い良くちぎって食べる姿に、
好きなようにさせることにしました。
亡くなる前の日も、猫はよろよろとベランダに出て葉っぱを食べようとしましたが、
うまくちぎれませんでした。
小さい葉をちぎってあげてみましたが、もう飲み込めませんでした。
猫が亡くなった時、苗は丸坊主で枝だけになっていました。
ピーマンには悪い事をしましたが、私にとって大事な大事な猫でした。
もうダメかと思ったピーマンでしたが、数日後には新しい葉が出てきて順調に育ち、
夏中次々と実を付け、20個近く収穫できました。
全部おいしくいただきました。
まだ少し花が付いていましたが、今朝からの強風で一番大きな枝が折れてしまい、
他の枝も折れて余所に飛んで行ってはいけないので抜くことにしました。
自然に涙が零れました。
ブチっと葉をちぎるあの子を、「しょうがないなあ、もう」と笑って見ていたことを思い出しました。
丸坊主になった苗を、泣きながら見つめていたことも。
「悲しい夏だったけど、君が育つのが楽しみだったよ。あの子にも食べる楽しみを
あげてくれたね。ありがとうね。」と声をかけました。
さようなら、ピーマンの木。
さようなら、あの子のいた季節。
最後にあの子が噛んで飲み込めなかった葉っぱは、大事に取ってあります。
周りに言えない小さな感傷の話を聞いてくださり、ありがとうございました。
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