向こうから、狭い歩道を二台の自転車が突っ込んで来ます。
ハンドルを握っているのは、二人のおばさん。
一方は小太り、もう一方は痩せています。
小太りのおばさんは無表情、痩せたおばさんは笑顔で突っ走って来ます。
自転車の走る速さはほぼ同じ。
痩せたおばさんの後ろを走る小太りのおばさん。
それが悔しいのか、小太りが痩せを追い抜きにかかります。
狭い歩道を並走する二台。(競馬なら、最後の直線、叩き合いみたいな)
このままでは、私たち、二台の自転車と正面衝突です。
悲鳴を上げる間もありません。
妻の前に踏み出し、咄嗟に、私は両腕を空高く持ち上げ、バレリーナの恰好。(いや、バレリーノ?)
ほんとにぎりぎり。すれすれ。
私たちの両脇をすり抜けてゆく痩せと小太り。風がびゅー!
二人を見送る私。無力。口のカタチは「あ」
すると、私の後ろ、やはりバレリーナの恰好をしていた妻が、
「男なら両腕を広げて止めない? こんなふうに」
と両手を左右に伸ばして見せます。
あり得ないでしょう? そんなことしても、自転車、止まりませんよね。
みなさんなら、こんなとき男性にどんな態度を望みますか。
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