現在多くの病院は厚生労働省の指導の下、DPCという診療報酬制度を導入しています。これは病名により入院1日あたりの診療報酬が固定されます。
例えば1日8000円のDPCだとすると、一切治療、検査もしなくてベッドで寝ているだけでも8000円の報酬、しかしCT, MRI, 採血等々山の様に検査をし、抗生剤や抗癌剤等高額な薬剤を使用しても8000円しか貰えません。そのため多くのDPC病院は入院疾患に対して必要な最小限の検査、治療しか行いません。
今回骨折という整形外科疾患で入院ですが、肝臓という内科疾患に対する検査、治療費用もすべて骨折に対するDPC診療報酬の中に含まれてしまい別に請求することができません。病院も赤字になれば倒産しますので、DPCの診療報酬内で治療するしかありません。
当然生死に関わるような緊急の事態(心筋梗塞、脳梗塞等)では赤字覚悟で検査治療しますが、緊急性がなければ退院後に外来で検査を行います。よくせっかく入院したのだから全身ついでに調べて下さいという事を仰る患者さんがいますが上記の理由で無理です。それは人間ドックで行って下さい。
昔は出来高制で検査、治療した費用は全て請求できました。しかしその結果不必要な検査、投薬により医療費が高騰したり、不正請求の温床になりました。DPC制度では検査をすればするほど病院の利益が減少しますので不必要な検査の抑制になります。その反面民間病院を中心に検査、投薬に過度の抑制がかかることがあるのが欠点です。
今回は肝臓に陰があると言うことですが、恐らく悪性疾患や緊急性のある疾患の可能性が低いとの判断だと思います。今の医療制度下ではやむを得ないと思います。
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