昔、住んでいた町にはレンタルレコードショップがあって、なんと24時間営業でした。すごく流行っていました。
その頃、夜、喫茶店でバイトをしていた私は、ある日、店内に流れてきた曲に一瞬で心を奪われてしまったのです。繰り返される歌詞の一部をどうにか聞き取って、急いで手のひらに書きました。
「キポン、フォザポストポン、ノンストチュゲリラ」
そして仕事を終えると、そのままレンタルショップへ直行。
「知らない曲はない」という中年の店長さんは、カウンターの椅子に座って、出前と思われるカレーを食べながら「らっしゃい」と、ぼそっと言いました。
「曲を探しているんですけど」
「誰の?」
「わかりません」
「どんな感じ?ヒントになるからなんでも言って」
メロディーは抜けてしまいましたが、手のひらに書いた呪文のようなフレーズを読み上げました。
「わかるのそこだけ?」
そんなやり取りだったと思います。
店長さんはスプーンを置くと、棚からレコードを何枚か持ってきて、かかっているレコードと替えました。
これ?ちがいます。じゃあこれかな?じゃないです。う~ん。
「出だしはなんかぶつぶつ言ってて」
と私が言った途端、店長さんの目が輝きました。
「これだ!」と裏から一枚のLPを持ってきて、かけてくれました。
ボリューム全開。軽快なダンスミュージック。まさにそれです。でもすでに予約が入っているということでその日は借りられませんでした。
「マイケルジャクソン。時代を変えるよ。これからすごいことになるから」
カレーの匂いが漂う狭い店内で、店長さんは目を閉じ曲に合わせて上半身揺らしました。
マイコー、サイコー!永遠です!
私は今でもあのフレーズのまま口ずさんでいます。
マイケルジャクソンをみんなで熱く語りたい。
よろしくお願いします。
トピ内ID:bc178bd27b36e70e