子供の頃、道徳の教科書で読んだお話だと思うのですが、
どうしてもタイトルを思い出せません。
子供心にとても感動したことを覚えていて、市販されていれば、どうしてももう一度読みたいのです。
父親を殺された男が、かたきをとろうと犯人を探し出すが、目の前に現れた犯人は、どんな勇ましい男かと思えば想像とは違い、みすぼらしい男だった。
しかも、犯人は大きな山を上り下りしなくてはならない村人のために、たった一人でトンネル開通のためにかなづちとのみを持ってすわり、カンカンと岩を砕いていた。
犯人の男を殺そうとすると、自分は逃げも隠れもしないから、トンネルが開通するまで待ってほしいという。
男は待っていたが、ただ待っているより、一日も早くかたきを取れるようにと隣にすわって一緒に岩を砕き始めた。雨の日も風の日も、夏の猛暑の中も、冬の吹雪の中も、二人は岩を砕き続けた。やっとトンネルが開通した時、実に3年という月日が経っていた。もはや、かたきも何もなかった。二人は抱き合っていつまでもむせび泣いていた。
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