犯人は色々ご想像下さい、ということかなと思いました。

横になりますが、私は犯人云々以前に、全く主人公に感情移入できなくて最後まで読むのが苦痛でした。
すっごく後味悪くなかったですか？
「ＯＵＴ」に続けて読んだのですが、正直駄作だと思いました。
だから、犯人は誰でもいいって思っちゃいました。

思わせぶりに終わってるけど、あれっておまわりさんかと思ってました。

はっきり書いてないけど。最後の章で彼女の視線からみたものが真実だったのだと思ったのですが…あれ？違うのかな？私はてっきり…

結局誰が犯人なのか、彼女がどうなってしまった
のかわからない、ということなのだと思います。

たくさんの憶測や噂やデマが流れとび、事件の渦中
にいる人達はその後の人生を大きく変えられ、しかも
決着がつかない。
日本にはそういった事件が現実にたくさんある、
ということを言っている本なのかなと思いました。

犯人はテレビドラマでは、癌で死ぬ警官でしたよ。自分の昇進のために女の子を殺したという、犯人でした。はっきりテレビではでてました。本は読んでませんが、とーってもくらーいドラマでした。名前を忘れてしまいましたが、宝塚出身の女優が主演で、三浦友和も出てました。

以前、ドラマ化され見て、
勝手に犯人を創造して下さいみたいな
終わり方をされ、すごく気になって、
本で読んだら、同じような終わり方だったので、
憤慨しました。
今でもあの話は許せません。
友達も言っていました。
あの犯人は勝手に創造しろ！ということで、
犯人が誰だとも言ってないです。
迷宮化した事件、それに苦しむ主人公の女性
の話ですから。
あー許せない！許せない！

私は自分なりの解釈で犯人は警官の脇田と勝手に断定
しています。

内海は何人かの犯人のバージョンの夢を見ていますが、
この夢の中での殺害の状況と一番最後に有香自身が
語っている章での自分の殺害状況が一致しているのが、
脇田のだからです。

有香は殺される直前、後ろで物音がして振り返り、そこにニコニコした男性が立っていて、「この人に殺される
んだ」と認識しています。

和泉は山の中で前からぱたぱたと走ってくる有香と遭遇
しているので、状況は一致しません。

脇田は有香が歩いてきた道に飛び出し、女の子が
振り返ったとあるので状況が一致しています。

他の、カスミの両親が誘拐説は、最後にカスミ自身が
実家に戻っているので、あり得ないと思われます。

ロリコンの水田については、特に誰の夢にも出て
こなかったので、ヒントとしても出ていないという
ことは犯人でないと解釈しています。

なによりも死ぬ直前の内海が警官の脇田が犯人だった
という事実に「最期に行きついた夢がこれか」と
涙を流しながら死ぬ姿を著者は印象強く描いているの
が、脇田犯人説が正解なのではと思わせます。

以上、あくまでも勝手な解釈でした。

私も許せないです。
本もドラマも見たのですが、あーいう結末、終わり方はイヤですねー。
トピ主さん、桐野ファンさんが書かれている通りなのだそうです。どこかの解説だかなんかでみました。
ＯＵＴはドキドキ、ハラハラして面白かったんだけどな～…

ＯＵＴの後に、すごく期待して呼んだのですが、たいした事がなくってガッカリしました。

こういうったラストなら、もう少し小説を短くできたと思うし、ある意味主人公の女性にまつわる無駄なエピソードが多いと思いました。

そして主人公を含め、色々な人間の細かいエピソードを書いているにもかかわらず、リアリティがあまり感じられないのが、この小説をつまらなくさせていると思いました。

ただし、この不満はあくまでＯＵＴと比べてであり、小説としてはもちろん標準以上に達しており、それなりに面白いとは思います。

犯人について、トピ主さんは気になっているようですが、「犯人をハッキリさせない」「読者の好きなようにご想像ください」「どの人間も犯人になり得た」という所に醍醐味があるようなので、いろいろ考えて楽しむのが、この小説の楽しみかたなのではないでしょうか。

桐野夏生は大好きです！
柔らかな頬を読んで、一気にファンになりました。
女は母親になろうと変わらず残酷で自分勝手で、すごくリアルに感じたな。

柔らかな頬の犯人は、私も手柄が欲しかったお巡りさん（脇田）かなって思いました。それが一番すっきり
として、まとまりのよい結論に思いました。
結局本当のところは分からず、色々な可能性があるよ、未消化の事件を抱えて生きている人もいるよって解釈が正しいのかもしれないけど。


ついでながら、癌になった刑事は内海で、手柄が欲しかった脇田とは別人ですよ。ドラマでは同一人物なのかしら？

皆様、ありがとうございます。

こうして考えると、実際にある行方不明・迷宮入り事件の周辺のざわざわした現実を捉えることのほうに主体がおかれた小説かとは思いますが、私のような小市民は犯人が書かれていないと納得しない、というところがあるのだと思います。

ただ、犯人が書かれていても、書かれていなくても、読んでいる最中の「引っ張られるような勢いのある感覚」で引っ張るだけ引っ張られ、最後の部分で何かしゅーっと消えてしまったような読後感で、筆致の巧みさに感心したのとは別に、何かぷすぷすしたものを感じたのは事実です。

時間が経ったらもう一度読み直してみたいと思います。
ありがとうございました。