私は未だかつてリセットしたいと思ったことはありませんが、知り合いに１人リセットという気持ちの趣で離婚された方がおられました。
しかし56才のときに前の夫と再婚いたしました。
今の夫と離れても寂しくないと思われればいいのですが、私には理解不能です。

主人が大病し、手術した時です。
危険を伴う手術でした。

「まぁいいや～　俺、やりたい事は一通りやったし、子供もいるし、今死んでも人生満足だな」

その時ふと思いました。

私は今死ぬのは絶対に嫌だ。二十歳から専業主婦で、家族第一、自分は二の次で生きて来た。自分の夢（イタリアに行って生のミケランジェロ作品を見たい・一度でいいからエルメス製品を持ちたい・憧れのミクニで食事をしたい・ダイビングをしてみたい・白骨温泉に入ってみたい。ベスパを買いたい）は、ひとつも実現していない。

働きはじめ、現在夢の半分は叶いました。
あの時が、人生のリセットボタンだったかもしれません。

結婚して３年、このまま子供を産んで育てて・・・って人生をリセットしました。

夫と二人で一緒に仕事を辞め、マンションを引き払い、持っているお金を使って、１年半におよぶ世界放浪をしてきちゃいました。

住所不定無職の夫婦になるまでは、それはもう死ぬほど怖かったし、ストレスがすごかったです。けれど、それを乗り越えると、まぁなんと世界は豊かで面白いのでしょう。

まさに人生観が変わりました。世界には、私たちと同じようにして、人生をリセットしている旅人がいました。日本人だってたくさんいました。貴重すぎる出会いの連続。

この前帰国したんですが、私はすごく変わりました。素晴らしい１年半でした。

人生のリセットするのは可能ですが、実は、大変な努力と勇気と根気が必要でした。けれど、それと引き換えに得たものは、私の臨終の日まで心の太陽となり、泉となると確信できます。