今はもう成人して社会人となった娘が幼稚園時代の話です。
娘のクラスのママさん達は基本的に皆さんとても良い方ばかりでしたが、
子供同士のいざこざから発展したママ友トラブルや、グループ間の反目など、
人間関係の問題は多少ありました。
ある時、クラスの定期茶話会があり、皆で順番に趣味などの近況を一言ずつ言っていきましょう となりました。
それぞれが自分の趣味を発表しながら楽しく進行していったのですが、
いつもグループに属さず、単独行動ながらも接する人には優しく、知的で颯爽とした雰囲気のひとりのママさんが以下のような趣味を話しました。
「私の趣味は小説を書くことです。ノンフィクションとフィクションを混ぜ込みながら書いています。今書いているテーマは『ママ友』です。」
誰かが「実名で書いてるの?」と質問すると、「実名だったり少し変えた名前だったり……。人に見せるものではなく、個人的な趣味なので」とニッコリ微笑みました。
皆は彼女が以前出版社に勤めており、今も不定期で旅行やグルメの記事を出版社からの依頼で書いている事を知っていました。
その発言のあと、何とも言えない沈黙が流れ……。
でも、ママさん自身はいつも通りの毅然とした佇まいで静かに微笑んでました。
その日以降、呑気な私の目に見える範囲内かもしれませんが、クラスのママ友間のトラブルがぐっと減り、皆お互いに気を使い親切になった気がしました。
時々、今彼女はどうしてるのかなぁ と思い出します。
「本当にママ友の小説を書いてたの?それともクラスの雰囲気を変えるために言ってみただけ?」
その後遠くへ引っ越してしまった彼女、なかなかのインパクトを残して颯爽と去っていきました。
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