昭和30年前後だったと記憶していますが、そのころ大阪の小学校では、年に1・2回近所の映画館で、「バンビ」「ダンボ」「ピノキオ」などの映画鑑賞の日がありました。そのうちの1本に、少年と、子犬(セパード)の物語の映画があって、ストーリーは、ともに成長したある日、お父さんの転勤で、引っ越しすることになりました。転勤先では犬を飼うことができなく、一緒に連れていくことができず、泣く泣く近くの友人のご夫妻に飼っていただくことで、あきらめました。一緒に兄弟のように過ごした少年と子犬は、本当に寝食をともにし、公園に散歩するときは、ハーモニカをいつも吹いてきれいなメロディーの曲を聞かせていました。そして別れの日、鎖に繋がれてじっと少年を見ている、犬。館内は、すすり泣く声と、涙で、銀幕はカスミ、辛さを噛みしめました。どれくらい経ったでしょうか。預かったご夫婦が、もう大丈夫と思って、鎖を外した途端、その時を待ってたかの如く、少年の去っていった方角へ走り出したのです。探し、捜し歩いて、長い日にちが立ちました。心無い人間にいじめられ、犬同士の喧嘩も避けられず、怪我もしました。飲まず食わずで、体はもう、ぼろぼろ。今日も、疲れた体を、とある川の土手の草むらに横たえ目を閉じてていると、風に運ばれてきた、聞き覚えのある、ハーモニカのメロディー。耳が、ピンと立ちました。立って歩く力は、もう残っていません、館内のみんなで「ガンバレ!がんばれ!」の大声援。一歩・二歩・・・。
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