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みんなが聞き耳を

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041
かえ
ひと
昼間。電車の中です。座席にはポツポツと空きスペースが。 向こうから大柄だけどスタイル抜群の若い女が親しげな様子で近づいてきて、私の隣にドスンと座ります。 「どーしたのー。仕事のカッコ?」とその女。相変わらずデカイ声。お酒の臭いも。 「そう、営業だよ。暑いよ。会社止めたい」私は低い声で答え、周りの座席に視線を走らせる。 おばちゃん、スーツの男、おじちゃん、高齢者、いろいろ居る。やだな、何駅この女に付き合わされるんだろ。 「あたし、まだあのミセ。いま帰るとこ。もうきのーは、やりまくりぃ」 わあー、わあー、ここでそういうこと言うな。デカイ声で話すな。私はいま常識的な社会人です。 「でっさー、もうなんて言うの、知ってるでしょ、Aのやつ、アレ最低・・・」 知らないよAなんて。私あんたと付き合いなかったほうだし。わあー、あんたの言うことみんなモザイクだって。 周りに誰がいようと一切構わず大声で、かなりすごいことまでガンガン喋りまくるこの女。 車内の人たちは興味津々? 明らかに聞き耳立ててます。聞くに堪えんみたいなしかめ面のおばちゃんもいる。 恥ずかしい恥ずかしい。私はいま常識的な社会人なのに。 だけど。彼女の時系列の物語はやがてだんだんいい話に。純愛物語に。彼女は嘘をつく子ではないので物語に無理がない。飛躍もないし、見栄もない。なんか素直に聞いてしまう。 車内の人たちもきっと私と一緒の気持ちだったと思う。途中から彼女を応援していたと思う。彼女の新しい彼がいい人でありますように、と。 もしかすると彼女の話の結末を確認しようとあえて乗り過ごした乗客もいたかもしれません。 これってすごいことですよね。彼女ストーリーテラーですよね。 でも、小町的にはどうなんだろう。非常識とピシャリでしょうか。

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