先週の金曜日、何年振りかで半蔵門の国立小劇場で、文楽の阿古屋の琴責め(壇浦兜軍記:だんのうらかぶとぐんき)を観ました。この芝居のハイライト、琴、三味線、胡弓の三種の楽器を演奏させる人形の桐竹勘十郎がうまいのは先刻、文楽ファンに知れ渡っていますから、こと改めて褒めたたえなくてもいいでしょうが、この三曲を、床の末席で演奏する25歳の青年がうまい。
調べてみると、人間国宝の鶴沢寛治さんのお孫さんの鶴沢勘太郎くんらしい。
文楽は一人一代かぎりで、血統は重んじないものだと聞いてはいたが、この青年の出来栄えは半端じゃない。「瓜の蔓になすびは生らぬ」か、さすがに名人・寛治じいちゃんの孫。ただこれだけチャンスを与えられると、周りのやっかみもひどかろうが、まあ、邦楽の世界でも、洋楽の世界でも、ショパンコンクールやチャイコフスキーコンクールで頭角を現すのは20代だから、文楽の世界も、せいぜい新しい才能を伸ばしてあげてください。
ご本人も「ピアノも、ギターも弾くが、三味線ほどに惹かれるものがない」とか、その言葉、爺ちゃんが聞いたら、さぞ喜ぶことでしょうね。
やっぱり、国立劇場の文楽公演、切符買っといてよかった。〈79歳)
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