縁あって田舎暮らしをしています。
引っ越して来て少し経った頃、
チャイムが鳴り、出てみるとお隣の奥さん(70代)でした。
ご実家を片付けに行って、使えそうな食器を持ち帰ってきたそうです。
「葡萄さんたちいける口?これどうだろ?使うかい?うちは飲まないので」と、
差し出された新聞紙の中にグラスが二脚見えました。
ほこりとヤニで少し変色したワイングラスです。
小さなラベルシールがついていましたが、文字は読めませんでした。
夫はその赤いラベルを見て『絶対いい物』と直感したらしいです。
お言葉に甘え、頂くことにしました。
夫は老眼鏡でシールの薄くなった文字を解読すると
「やっぱり!だと思ったよ」と、宝くじを当てたみたいな顔をして、洗剤で丁寧に洗い始めました。
ネットで調べて、その値段にぶったまげたのは私です。
しばらくして
傷ひとつない光り輝くグラスが二つ、テーブルに置かれました。
私たち夫婦は普段、スーパーで売っている安くてお得なワインを飲んでいますが、そのグラスに注ぐと味が変わります。不思議です。
乾杯も「ご~ん」と重厚な鐘の音。
魔法にかけられたように、夫婦でちょっと見つめ合ったりして。
けれど問題がありました。
高さ24センチです。
うちにはキャビネットなどなくて、食器棚にも収まらず、
置けるとしたら本棚しかありません。
海を渡り、日本の田舎町にたどり着き、何十年と埃を被り「こんなはずじゃなかっと」とくすぶって、あらびっくり。
再び輝きを戻し、ようやく本領発揮です。
その高貴なカップルは、ほぼ毎晩テーブルへやってきます。
少し疲れた中年夫婦の食卓を飾ってくれます。
「お役に立って光栄です。中身に贅沢言いません」と、どこか謙虚な立ち姿ではありませんか。
ご縁って大事。ありがとう。
大切にします。ずっとペアでいて。私が守るから。
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