私は要介護2の母のサポートをするため、定期的に実家に通っていました。
いつも数日泊まります。
冬、ちょうど今頃の寒い夜です。
片付けを終え台所の電気を消すと、リビングで静かにテレビを見ている父と、寝室のベッドに入った母に、それぞれ「おやすみ」と顔を見せに行きます。そして、自分の布団に潜り込みます。ぬくもりが足の方からやってきて、すぐ眠りに落ちます。
冷え性の私のため、母は、私がお風呂に入っている間に湯たんぽを布団に入れておいてくれるのです。
「自分でやるから」と何度言っても「これだけはお母さんが」と母は通しました。
先日、その湯たんぽを持って帰ってきました。
ポリエチレンが材質の、ホームセンターなどで手に入る袋付きの湯たんぽです。
私は自宅でも湯たんぽを使っているのですが、久しぶりにそちらを使おうと思いました。
2年ぶりだったので、袋を洗おうと裏返しにした途端、手が止まりました。
袋の口の両端のほころびやすい所が補強されていました。
白い木綿糸、手縫いだとわかります。
母です。いつ縫ってくれたのでしょう。
実家で寝ていると足元で「でん」と鈍い音がして目が覚めるということが何回かありました。湯たんぽが布団からずり落ちたのですが、私はいつもクタクタでそれを戻す気力もありませんでした。でも次の朝、それはちゃんと私の足元にありました。
母はトイレのついでに、毎晩、私の様子を見に来てくれたのです。
当時の母からすれば、湯たんぽを持ち上げるのも、屈むのも、しゃがむのも容易ではなかったはずです。
布団にそっと差し込まれた湯たんぽのぬくもりと感触。
母の介護をして見送りました。
でも、私も母から大切にケアされていたんです。
今晩、温まりながら泣きそうです。
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