40代半ばなので、もう数十年前の昭和の時代の話です。
小学生のころ、時々遊んだ男の子がいました。
その子は、私より一つか二つ上の学年で、通学路の途中にある古い木造アパートに住んでいました。
うちの近所には、同学年の友達が数人おり、いつも決まった公園で遊んでいましたが、その子が公園にきたことはありませんでした。
たまに遊ぶ友達が見つからずぶらぶらしていると、一人でいる彼を見かけたので、なんとなく一緒に遊ぶことはありました。
遊ぶといっても、ただ共にぶらぶら外で時間を潰すだけで、何もすることはなかったです。
彼はとてもおとなしく、どういう会話をしたのかも記憶にありません。
あるとき彼のアパートの前に二人でいたところ、ちょうど彼のお父さんが仕事から帰ってきました。
くたびれた作業着姿で、まだ夕方には少し早い時間でした。
お父さんは、どういうわけか初対面の私に向かって、いきなり大声で怒鳴って怒りました。
彼はお父さんに促され、俯いてお父さんの後をアパートの外階段を上がって行きました。
私はびっくりしてしまい、何を言われたのかわからないまま家に帰りました。
次の日、下校途中に彼がアパートの前で待っていて、
「お父さんが、『人違いした。すまない。』って。これ」
赤いチップスターを手渡されました。
彼がきっと誤解を解いたんだろうなということは想像できました。
でも、その後遊ぶことはなくなりました。
私はしばらくして県外に引っ越してしまったので、それっきりです。
赤いチップスターを見ると、いつも思い出します。
そして、心が痛みます。
彼はいつも一人でした。
お父さんが誤解するような事情があったのかもしれません。
元気に幸せでいてくれたらいいな、と思います。
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